忌わしき現実から、楽市が勇ましく逃避する日々を、綴る。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
東京バンドワゴン (集英社文庫 し 46-1)東京バンドワゴン (集英社文庫 し 46-1)
(2008/04)
小路 幸也

商品詳細を見る
明るく、楽しく、懐かしく。平成下町大家族小説
東京下町で古書店を営む堀田さん家は、今は珍しき8人の大家族。それも各自各様の超個性派ばかり。ご近所の不思議な人々が加わり、日々事件が巻き起こる。今日は一体何が始まる? (解説/百々典孝)

 大家族と、その近所住民の古き良き時代を思わせる暖かな関係が面白い(いつかの昼ドラを思い出した)。その関係が魅力的に思えるものだから、読み進めるのも苦がない。
 ただ登場人物が多いこともあって、未だスポットライトが当たらない人物も多数おり、個性が見当たらないキャラクタも少々。また四季にあわせて、一家に降りかかる事件を自ら解決してゆく、という形で物語が進むわけだけど、展開が少々読め易く、また事件解決のキーを握る人物の登場やスキルが極端に思えて、少々ご都合主義を感じたり感じなかったり。
 それでも、続刊が文庫化され次第、僕はこれをまた買う。絶妙な愛で結ばれた家族間の物語は、好きだから。
スポンサーサイト
ステーシーズ―少女再殺全談 (角川文庫 (お18-16))ステーシーズ―少女再殺全談 (角川文庫 (お18-16))
(2008/03/25)
大槻 ケンヂ

商品詳細を見る
鬼才・大槻ケンヂの才能の原点。稀代の名作完全版で登場!
少女たちが突然人間を襲う屍体となる「ステーシー化現象」が蔓延。一方、東洋の限られた地域で数十年の畸形児が生まれ、その多くはステーシー化し再殺されたのだが……。新たに番外編を収録した完全版。

 NHKにようこそ! のアニメ版などなどで主題歌を手がけていたことが記憶に新しい、著者の作品です。ロックアーティスト? など、多方面で活躍しているようですが、別にどうでもいいですね。
 さて、良くも悪しくもユニークでした。
 全体に詩的な感がする描写で綴られています。そのため情景描写などは、どこか粗忽で、内容に反してグロティスクな印象はあまり抱きませんでした。
 で、物語の感想を述べると、よく分からない。
 少なくとも、人物たちに人間らしさを僕は感じなかったから、愛した少女たちを再殺しなければならない男たちの心境も、絶対的にゾンビになる運命を抱え殺されることが決定している少女たちの心境にも、共感も抱けなければ大した感慨も感じなかった。
 つまりエンタメな設定なのに決してエンタメではなくて、じゃぁ一体なんなのかと言うと、分からない。
 極端な設定、尽く乱心を疑わせる人物達、斬新な描写。これらは確かに、読んでいて興味深いしユニークで面白い。ただそれだけで、それ以上のものは今の僕には望めなかった。ひょっとすると、この作品には僕には気づけなかった解釈の仕方が隠されているのかも知れないが、いずれにしても大衆的な作品ではないだろうとは断言できる。
 ともかく、異様だった。
デュラララ!! ×4 (4) (電撃文庫 な 9-26)デュラララ!! ×4 (4) (電撃文庫 な 9-26)
(2008/03/10)
成田 良悟

商品詳細を見る

 前作と相当間ができて4巻が発売したんで、ストーリーがうろ覚えで、3巻から読み直してしまいました。

 さて、成田良悟の作品はそのすべてが、時代と国境が違えど同一の世界を描いたものです。
 そのため、登場人物や時代背景、環境設定が異なっても、物語全体の雰囲気なんかは、すべて同一。つまり、色んな時代の色んな世界の、出鱈目で滅茶苦茶なのに、どこか魅力のある連中の人間模様やら化物模様やら社会模様やら抗争やらを描くのが著者の作品。そして、〔デュラララ!〕の舞台は現代の東京池袋みたい。
 不老不死やドラキュラなんかを題材に描く作品も多数ある中、現代の日本の実在する舞台に描いているだけあって、著者のシリーズではこれが今、最も現実的ではあるかも知れない。
 また著者は実験的な描写の仕方(単語などの羅列で感情や情景の表現をとったり、など)がよく見られ、それでも質の高いエンタメをやってくれている。つまりラノベを許容できて、少年漫画とか嫌いじゃない人が、成田作品を読んで〔つまらない〕と思うことはまずないと思う。
 成田作品を好めるなら、あとは自分の肌に合うシリーズを適当にお好みで探して、読めばよい、と。
 完結してない作品の途中レビューは、私的に難しいように思えるので、それはしません。ちなみにアニメ化したバッカーノは数冊しか読んでいない。同じく日本が舞台の作品はすべて読んでいるので、僕は海外が舞台の物語は苦手なのかも知れない。誤解してほしくないのは、著者の作品は基本的にすべて面白いってこと。あとは好みの問題かなと思ってる。
霧笛荘夜話霧笛荘夜話
(2004/11)
浅田 次郎

商品詳細を見る
不幸の分だけの幸せは、ちゃんとある。どっちかが先に片寄っているだけさ
運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。そのアパートの6つの部屋に住む、6人の住人たちの様々な人生を描き出す。不器用だけれども誠実に生きていた6人だったが。待望の連作短編集!

 初・浅田次郎。
 社会的に人を勝ち組と負け組の二つに隔てるのなら、彼らはきっと負け組。
 どいつもこいつも、見映えの悪い人生を送っていて、不器用な性格を持っていて、それでいて、どいつもこいつもどこか暖かい。

「この霧笛荘の住人に、不幸なやつはひとりもいなかった。どいつもこいつも、みんな幸せだった」

 霧笛荘の管理人にして、物語の語り手の老女の言葉に、鳥肌が立った。
 これはきっと、〔どこかに救いを垣間見せるような創作物〕だけに通じるような、綺麗事では決してないと思った。およそ人が不幸と認知する境遇にいようと、それが当人にとっても不幸であることだと決め付けるのは、彼らにとっての冒涜だ。幸福の形は多様だから。これは、それについて教えてくれる。
 使い古されたようなテーマの話かもしれないけれど、僕はこの手のものにどうも弱い。
赤×ピンク―Sakuraba Kazuki Collection (角川文庫 さ 48-1)赤×ピンク―Sakuraba Kazuki Collection (角川文庫 さ 48-1)
(2008/02)
桜庭 一樹

商品詳細を見る
 初桜庭一樹。直木賞云々で最近色々とメディアにも顔を出す女性です。これは元々ファミ通文庫から出版されたものらしいけれど、どうでもいいや。
 さて、非合法のキャットファイトに集う、三人の女性視点で綴られる物語です。
 もうリアルに女という生命体自体に偏見を持つ僕としては、外見や言動を除いても、こんな純な性格を持った女いねぇよ畜生、と言いたくなる。つまり、性格が純なものだから、私的にはどれも好感の得られる女性たち。が、そんな彼女たち皆の境遇がおよそ一般的なものではないため、〔現実的〕かと問われると、決してそうではないし、言ってしまえば決してリアルな内容ではない。
 元々ラノベのようだし文体は軽く読みやすい。そんな軽やかな文章で、淡々とキャットファイトの女性たちの持つ過去や今を綴ってゆく。決してハッピーエンドではないし、バッドエンドでもないし、そもそもエンドなんて描かれていないように思う。実質的にしても思想的にしても、とある日常での、しかし大きな〔変化〕の瞬間を描いた話、と思う。
 ぶっちゃけ、とってもレビューし辛い。その軽い文体からスラスラ読めたし、楽しめたし、面白かったと思うのだけど、内容にリアリティがないから彼女たちに深長さが感じられないし、かといって猥雑さや違和感は皆無で、つまりこれは純文学風に描かれた娯楽ライトノベルではないのかな。と思った。悪い意味でなくて。
スキップ (新潮文庫)スキップ (新潮文庫)
(1999/06)
北村 薫

商品詳細を見る
昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた。目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ―でも、わたしは進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、『わたし』を生きていく。
 設定を改めて思うと、惨いほど残酷だ。未来に飛んだ人格と、そうでない人格があるということは、つまり一つの分岐点で人格が二つに複製されている。そして、その一方は途中で世界から消滅しているんだもの。まぁそれがただの記憶障害にせよ、物語自体に、それらはさして重要ではないんだけど。それを差し引いても、主観の境遇は、どういった展開が待っていようと残酷でしかないように思う。
 さて、特殊な立場に置かれる主観に訪れる展開は、面白い。ただ十七という設定の主観が、あまりに完成された人間で、少し違和感。時代を飛んだことへの戸惑いを重点に描くのが普通かなと思うのだけど、半ばからは、およそ時代に順応した上での環境に奮闘している。それはそれで皮肉だなとも思う。
 読んでいるだけなら楽しめるのだけど、設定が設定なものだから、話に救いがないのが個人的には残念。面白い。面白いのだけど、あまり良い読後感では、ないんだよなぁー……。
ぼくは勉強ができない (新潮文庫)ぼくは勉強ができない (新潮文庫)
(1996/02)
山田 詠美

商品詳細を見る
 ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ―。17歳の時田秀美くんは、サッカー好きの高校生。勉強はできないが、女性にはよくもてる。ショット・バーで働く年上の桃子さんと熱愛中だ。母親と祖父は秀美に理解があるけれど、学校はどこか居心地が悪いのだ。この窮屈さはいったい何なんだ。凛々しい秀美が活躍する元気溌刺な高校生小説。
 一話ごとに主人公の抱く歳相応の世の中への疑問や悩みが、自己解決されてゆくさまを描いて、著者式の道徳や哲学を読者に説いている。といった印象。そして、その道徳や哲学に少なからず偏りがみえるのが残念。偏りのみえる時点で、その道徳や哲学は誤りなわけで、かといって文章の読みやすさ以外に本書に期待できる点がここにしかない以上、僕はこれを安易に人に薦めることもできない。
 例えば僕がいうのも何だけど「勉強よりも素敵なことがいっぱいあると思うんだ」って、まぁそれは別に否定はしないけれど、じゃあその「素敵なこと」を得るには勉強はできなくなるのか、ってこと。教育が義務化されている以上、それを拒む理由はどこにもないんだろうよ日本で。だから、時田君も俺も勉強しといた方が良いと思うよ、どうせ暇だろ。
 とりあえず本書は著者の偏見で出来ている感が否めません。読みやすいし、人物にリアリティはないけど読んでいて楽しめはする。でも共感はできない。
 ちなみに著者は某有名大学出身。
きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
(2003/11)
西尾 維新

商品詳細を見る
禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく…。様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが―?『メフィスト』に一挙掲載され絶賛を浴びた「体験版」に解決編を加えた「完全版」。これぞ世界にとり残された「きみとぼく」のための本格ミステリー。
 西尾維新は二作目だけれど、情景の描写に欠け気味の一人称には慣れそうにない。
 さて、ミステリーものの長編は恐らく殆ど始めて読んだと想うのですが、これをはたしてミステリーと言っていいのかは微妙なところかなと思いました。ミステリーというよりも、それに伴う世界観や人物らの心情の変化を描いているようにも思うですが、その心情に違和感を覚えてしまうのです。
 ライトノベルの特色として妥協すべきなのかとも思うのですが、まず人物たちの思考に人間らしさを感じられませんでした。どこか皆、ずれています。その点はまぁ、〝そういう物語である〟と言われると仕方がないと思うのですが、殺人事件に伴って発生する周囲の感情が一般と大きくずれているのに、それをさも当たり前のように、物語が進んでいく光景には、少し戸惑いました。そのため、人物達の展開する哲学にもどこか違和感を覚えます。子供の僕がいうのなんですが、子供っぽいんですね。
 もんだい編、たんてい編、かいとう編、えんでぃんぐの四つの章で構成されているのですが、かいとう編がすごい。故意でしょうし、そういう手法を使った小説は幾つもあると思うのですが、ミステリの醍醐味とも思われる〝真相〟を主観以外の一人称で延々語らわせるのは如何なものなのか。また事件の発生理由や動機は結局曖昧のままで、まぁ明らかになる必要がなくとも問題がないのは事実なのですが、そういう点が欠落しているのはやはり登場人物たちに人間らしさを必要としていない由縁かなと思いました。
 ラストの数行は面白い。とんでもない皮肉。これが皮肉の意図がなく書かれているようなら、逆にとんでもない。……意図、あるよね?

 PS 主観の近親相姦の設定って別になくても良かったんじゃないかな。もっと他の常識的な設定で補えたんじゃないかな。ギャルゲっぽ過ぎて、この本、家でしか読めなかったよ。狙いすぎだって、本当。
I love youI love you
(2005/07)
伊坂 幸太郎、石田 衣良 他

商品詳細を見る
 恋愛には物語がある。初めて異性を意識しはじめたとき、そして別れを予感したとき…。さまざまな断片から生まれるストーリーを、現在もっとも注目を集める6人の男性作家たちが紡ぐ、書き下ろし恋愛アンソロジー。

 伊坂幸太郎/ラノベのような軽いタッチだったけれど、面白かった。改めて思うと複線がわざとくさい気もするけれど、読んでいる最中は気にならないので別にいいやぃ。ラストはわざわざ説明してくれなくともいいやぃと思ったけども。うん、面白かった。
 石田衣良/臭かった。とっても。結構ベタなんじゃないかなと思う。本作の作家陣の作品と比べると少し色褪せてみえたかも。過去に彼の恋愛短編集読んだせいだけとは思えない、この感覚。
 市川拓司/読んでいて楽しめたよ、まぁ。でもこれ、結局中身がないように思うんです。
 中田永一/覆面作家、乙一という噂があるけれど、なるほどと思った。作風や主人公像や無駄のない描写があまりに白の乙一。例の切なさもまるで似ていて、ゆえに面白かった。
 中村航/こういう男女関係って良いなぁと思った。でもこれ恋愛小説なのかしら。男同士の友情のような描写が多くて、読んでいて、いいなぁと思った。好き。
 本多孝好/著者の描く人物同士の出会いのシチュエーションが好き。歳のせいかリアリティがみえなかった。一概に小説にリアリティは必要と思わないけど、この手の話には必要だろと思う。感性の違いといわれると、それまでだけど。
 余談だけど、この本を学校に持ち歩くと周囲の女子から冷やかされるので注意。「愛に飢えているの?」の問いに対して「いえす」以外の何を言えと。
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
(2004/10/29)
本多 孝好

商品詳細を見る
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
(2004/10/29)
本多 孝好

商品詳細を見る
小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。
 著者の描く人物はどれも了見が広く、個性や難はあるものの、人格者のようにみえる。それが物語りにプラスの影響を与えているとは一概には言えないけれど、彼らが織り出す世界だからこそ、魅力がある。
 恋愛小説、と一言では言えないかもしれない。なくなっていった恋人たちに、勿論各々個性や魅力はあるのだけど、主人公にとってはどれも同じ位置の同等の存在のような気がして、どこか一貫した存在にみえてしまう。一人称だから、恋愛描写が主人公の理性的すぎるフィルターを通るわけなので、どうしても彼らの関係性がどれも薄弱にみえてしまう。 
 それでも、やっぱり〝読ませる魅力〟というのが所々の描写や人物にあって、導かれるラストもやっぱり素敵で、面白いんだよなぁー。ノルウェイ読んで思ったのは、著者ってとても村上春樹っぽい。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。