忌わしき現実から、楽市が勇ましく逃避する日々を、綴る。
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そのビー玉は、空でした。
 
 最初はただの空色のビー玉だと思ったのです。しかし、道端に落ちていたそれを手にして近くで見るなり、私はそれが空であると確信しました。小さなビー玉の中に映る空の色。それを覆うように白い雲が見えました。初めは自分の目を疑い、そのビー玉を振ったり叩いたり、目を閉じたり開いたりとしていたのですが、何度見てもそこには空がありました。ビー玉の中の空をスズメが数匹飛んでいるのを目にすると、私はとても嬉しい気分になりました。私は今、小さな空を持っているのだと、小さな一つの世界を持っているのだと、嬉しい気持になりました。
 ふと、頭の上にある本当の空を見上げました。そこには、灰色の空がありました。私は雨が降っていたことを思い出しました。同時に、私は自分が家から逃げ出してきたことも思い出しました。この空色のビー玉に魅了され、私はすっかり忘れていたのでした。自分が家出をしてきたことを。
 
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片倉昌子は変わっている。
 そう思ったのは、彼女が転入してきてすぐ、その日のことだった。
 僕の隣の席に座ることとなった片倉昌子はイスに腰をかけるなり小声で僕に呟く様に言った。
 「あの先生。老い先短いわね」
 それが彼女の第一声だった。担当教員への死亡予告。最悪な第一印象だった。
 
 
[小説~片倉晶子。]の続きを読む
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